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以下の内容は「日本メディカルイラストレーション学会雑誌Vol.3」に投稿したものです。

要旨:学会設立活動は3段階に分かれる。初期は物語を構想する段階、中期は因果関係の土台を作る段階、後期はコミュニケーションの循環の段階である。安定的な運営活動の指針の参考として、NPOの運営手法を紹介する。学会によって行った情報のキュレーションと視座の提供として、趣意書・認定制度/講習会・学会誌の3つがあり、それぞれ3段階のコンテキストを構成している。本学会の特徴として26の専門分野から発表者が集まることがあり、独自のビオトープを形成している。現代日本の医療制度には主役である被保険者(国民一般)に対する公的な医療メディアが存在しない。今後、医療現場と医学界には否応なくデジタルトランスフォーメーションの波が押し寄せる。そこではMUI(メディカルユーザーインターフェイス)とMUX(メディカルユーザー体験)のデザイン需要が生まれると予想され、我々にとってチャンスである。インターネット環境には次々とコミュニティが生まれており、そこでコンテンツを制作する人にとって役に立つ「サービス価値共創のフレームワーク」を紹介する。既存のメディアと新規ウェブメディアが混在する現在、医療系メディアを3つの軸で網羅的に分類し、その特徴を分析した。

キーワード:学会設立活動、視座、デジタルトランスフォーメーション、サービス価値共創、医学系メディア

目次

1.   学会設立活動の分析

1.   初期:準備委員会として(2014年〜2015年)

2.   中期:第1回学術集会・学会誌第1号発行(2016年〜2017年)

3.   後期:認定講習会の構想・運営(2017年〜2019年)

2.   NPOあるいは社会企業的な学会運営へ

3.   学会による情報のキュレーションと視座の提供

1.   「趣意書」の意味

2.   「認定制度・講習会」の意味

3.   学会誌の役割

4.   発表者の分析から見えるもの

5.   日本の医療の制度設計

6.   医療現場・医学会とデジタルトランスフォーメーション

7.   サービソロジー・価値主義の考え方

8.   空間に偏在するコミュニティ、心地よい摩擦の設計

9.   日本の医学系メディア界を俯瞰する

1.   メディアとは何か

2.   医療メディア・コンテンツを3次元マトリクスで分類

1.   学会設立活動の分析

 設立活動当時を振り返ると、5名の役員の先生方との熱いぶつかり合いと濃厚な交流の思い出がある。およそ3年に及ぶ活動を分析することで、今後コミュニティを作りたい人の役に立つように情報を整理しておきたい。

 役員の方々とは、はじめ緩やかなつながりから始まった。「メディカルイラストの団体があるといいよね」という夢を語る中で、熱が生まれ、学会を作ることに情熱を捧げる日々が始まった。ネットで交流できる世の中になったとはいえ、学会設立のように新しい価値を生むためには、熱意を持った人と人が直接会って意見を戦わせることでインキュベーションの場が生まれ、創造のために一人一人が力を引き出される過程が不可欠であると思う。

 設立活動は時期によって3段階に分けることができる。

初期:夢を語り合い物語を構想する段階

中期:因果関係に基づいた土台作りの段階

後期:コミュニケーションの発生と循環の段階

 小さなコミュニケーションから始まり、日本における医学系団体としてのきまり・法を構築する段階を経て、新たな大きなコミュニケーションが生まれるーそんなパターンが読み取れる。

1-1.     初期:準備委員会として(2014年〜2015年)

①    佐賀大学美術館展

 学生時代に美術部部長で、絵描きになりたくて仕方なかった医者である私が、このタイミングでメディカルイラストに関わった時、やるべきことがはっきりと目の前に見えたことを記憶している。私にできる最大のギブを差し出すことで、自分も描き手の方々も喜び、世の中に存在感を示すことができると考えた。結果的に日本で初めてメディカルイラストレーションのみの作品群を美術館で展示し、この分野の現状を俯瞰する機会となった1)。また医療者以外の一般の人がどのような反応を示すのかモニタリングすることができた。この時の好意的反応が、この分野を追い続ける一番の原動力になっている。作品を貸してくださった皆さんとは今も共に歩む者としての勝手な共感を抱いている。「思いついたことはやってみるべし。応援者は現れる」が教訓である。

②    臨床外科学会ハンズオンセミナー

 2014年に第76回日本臨床外科学会で、役員の佐久間先生と横田先生が第1回のハンズオンセミナーを主催。翌年の同学会で私と佐藤先生が第2回のセミナーを担当した。佐藤先生とメールでやりとりしながら、WACOM社から貸し出しを受けた液晶タブレットでの体験型の指導を行った。内容の入念な準備は行ったが、機材の準備、進行、トラブル対応など、ぶっつけ本番であった。描くことを上達したい外科医のとの交流に、自分の新しい面を開拓される思いであった。「教えることは教わること。自信を持って人の前に立て」が教訓である。

③    AMIホームページ分析

 アメリカのメディカルイラストレーター協会がどのような思想で構築されているのか読み取り、学会の骨組みに活かすために分析した。共に行動することの意味、世界に価値とプロフェッションを喧伝すること、歴史を刻むこと、一箇所に情報を集約しブランドを保つこと。AMIは職能団体であり、イラストレーターの権利を守ること、契約の基準を示すことなどが前面に出ている。歴史に圧倒されながら、とても心強かったことを憶えている。

④    欧米の業界調査

 facebookで垣間見えるアメリカのメディカルイラストレーターの就業状況を調べ、当地で活躍している鹿山育美さんらから情報を収集した。その結果を学会雑誌第一号の論文にまとめた2)

⑤    日本の業界・出版界調査

 なぜ日本ではイラストレーターが経済的に厳しい状況にいるのか、その実態と原因を知りたいと強く思っていた。イラストレーターの方々からの情報や出版社の方からの情報をまとめ、上記論文に記載した。

⑥    国内の作家調査、主力メンバー候補とのコンタクト

 インターネットと医学雑誌、出版社の情報を日々ウオッチし、これはという人には連絡を取った。形成外科分野、脳外科分野には継続してイラストの制作を行っている医師がいること。個人でメディカルイラストレーションを請け負っているイラストレーターが点在していることがわかった。

⑦    発起人への依頼

 医師24名、出版社2名、会社役員1名に依頼しご快諾いただいた。はじめからイラストレーターと医療職者が半々になるべきとの考えを持っていたが、学会という団体を作っていくことと、医学の世界に一定の場所を占めるために、医学の世界で実力を持ちメディカルイラストに理解のある医師を中心にお願いすることなった。当初は、味方になってくれる人は決して多くないだろうという肩身の狭さの中、絶対に灯を絶やしてなるものかという意地が原動力となっていた。

⑧    ホームページ制作

 Webデザインのプロでもある佐藤先生が中心となって行っていただいた。ネット上に情報発信の拠点を作ることは当初から念願であった。関心を持って検索する人がたどり着く場所を持つことは何より重要で、本学会のように現実の中心点が存在しない団体の場合は存在証明になる。初めて見た時とても嬉しく、役員一同大変盛り上がった。会員の視点から修正を繰り返して現在に至っている。

⑨    学会ロゴ制作

 日本と世界の医学系団体、芸術系団体のロゴを収集し、イラストレーターの先生方が中心となってデザインを決定した。学会のテーマカラーは青と決まっていたが、佐藤先生が微妙に色合いの異なるバージョンを試作され、議論の末、現在の色に決定した。

⑩    会則の決定

 多くの学会・研究会の運営経験を持つ森谷先生が中心となって制作された。団体として空中分解することの無いように、学会システムの骨格を明文化していただいた。「総則、目的及び事業、会員及び会費、役員、役員会、年次学術集会及び総会、機関紙、会計」からなる会則は、活動の確かな柱として存在している。幹事役員には総務、会計、学術、教育、編集、広報、渉外の各担当を割り当てた。

⑪    学会か研究会か協会かの議論

 医学の分野であれば、研究会から徐々に規模を拡大し、数年かけて学会に昇格することが多い。また職能団体であればAMIのように協会として旗揚げする方が理にかなっている。そんな中、長年消化器系のイラストを制作されてきた佐久間先生と循環器外科で心臓の研究をなさっている末次先生との対話の中で、「医学と対等に誇りある分野として、メディカルイラストレーションは学問に値する」ことを役員で共有。学会として船出することになった。

⑫    学会の内容の構想

 作品の展示と講演会を中心にすることは決まっていたが、当初はどのような属性の人が会員になってくれるか分からなかった。会員との対話の中で内容を変更していくことを話し合った記憶がある。参考にしたのはAMIの日程表、各医学系学会、美術解剖学会などの内容である。結果として現在、講演、ポスター展示・発表、作品展示を行っている。当初よりワークショップや分科会の構想はあったが、まだ実現していない。

⑬    趣意書の作成

 学会を構想し始めた初期段階で趣意書を作成した。役員間で数え切れないほどやりとりと修正を繰り返し、「世界に冠たるメディカルイラストレーション文化を作る」との志を抱き、「関心を持つあらゆる人が集う学会」たるべく魂を込めたつもりである。私は最終的に文章としてまとめる役割を担わせていただいた。

⑭    学会雑誌の構想

 この分野が学問に値するという直感はあったが、医学を含む既存の学問分野から認めてもらうには、テキスト化された論文が蓄積していかなければならない。職能団体であるAMIもBiomedical communicationという学術雑誌を発行していることで、その専門性とプロフェッショナリズムを内外に証明している。アメリカ・カナダのメディカルイラストレーション系の大学院では、学生が卒業研究を行い論文としてまとめ、発表することを課している。その経験は本人の誇りとなり、その後の長いプロ生活を支えるパスポートになる。詳しくは後述する。

1-2.     中期:第1回学術集会・学会誌第1号発行(2016年〜2017年)

①    関心のある医者・作家・出版社への広報

 学会の土台を作る段階を過ぎると、次に存在を知ってもらうことが大きな命題となった。日本各地に存在するであろうメディカルイラストレーションに関心ある人の元に情報を届け、共感してもらい、参加を検討してもらうことが、団体活動としては絶対条件である。各役員の人脈とインターネット情報、医学書出版社への問い合わせを通して、これまでにイラスト制作を行っている医師や作家を探し、積極的に連絡を取った。

②    メディア取材依頼

 メディアの世界では発信しないものは存在していないことと同じである。医学系のニュースを扱うメディア数社に取材の依頼を行い、記事にしてもらった。

③    学会・教育機関への告知

 役員の人脈を駆使して、代表的な医学系学会や教育機関にお知らせの手紙を郵送した。

④    学術集会投稿規定の策定

 複数の学術団体の投稿規定を参考に、投稿規定を策定した。記事の類別と内容、文字数の規定。原稿の執筆基準、引用文献の書き方。評価基準を記した。著作権については後述する。

⑤    会員募集要項の策定

 メディカルイラストレーションに関心のある人には広く会員になってほしいという意図の元、門戸を大きく設ける形で募集要項を策定した。

⑥    著作権規定の策定

 現在、日本においてイラスト作品の著作権はぞんざいに扱われがちである。医学の分野でも同様で、クライアントによる権利無視や学会発表での勝手な引用などがしばしば見られる。メディカルイラストレーションを専門にする我々が雑誌に投稿された作品を扱う場合、権利関係を丁寧に扱う必要があった。そこで出版社の方へのヒアリングを行い、慎重に検討した。結果、「投稿されたイラストレーション作品の著作権は作者に帰属する。このため原稿投稿時に、一部譲渡契約書を提出していただく」こととした。

⑦    広告募集要項の策定

 学会の運営資金は会費に依存している。学会雑誌の編集にかかる費用に回す資金は無かった。少しでも自前の資金を入れることが継続的に出版する条件となる。他学会の広告掲載料を調べ、2万から5万円の枠を設けた。学会雑誌第2号では会員が運営する2団体より広告の依頼をいただくことができた。今後、校正と組版を外注できるかどうかは広告の充実にかかっている。

⑧    学会誌編集・校正・組版作成

 資金がない以上、自前で行うしかなかった。私は専門ソフトを有しないため、microsoft Wordを使って可能な限りの校正・組版作業を行った。慣れない作業の連続で疲弊した。

⑨    協賛企業・賛助会員の募集

 活動資金の柱の一つとして募集を行い、第1回大会開催後、数社・数人より応募をいただいた。今後、学会活動が安定するか否かは、ファンドレイジング活動の成否にかかっているとも言え、重点課題の一つである。

⑩    講演者の依頼

 第1回の集会では言い出しっぺの役員が講演を行うこととした。第2回以降では、これまでコツコツと活動してこられた方々にお願いすることにした。

⑪    facebookページ運用 分析ツールの利用

 第1回の学術集会開催までは、ホームページよりもfacebookページでの告知をメインに行ってきた。これは佐賀大学美術館での展示で集まったfacebookフォロワーに対して、引き続き学会のことを知ってもらうためでもあった。学会が立ち上がるまでの過程を一緒に経験してもらうことで、親しみと期待感を持ってもらう効果があったと考える。またfacebookページには視聴に関する分析を無料で行うことができるツールが実装されており、投稿のリーチ数、閲覧数、アクション数などをタイムリーに分析することが可能である。学会立ち上げ前の段階で、どれだけ注目を得ているのか数値として分かることは、不安の解消とモチベーションアップにつながった。

⑫    ポスター・チラシ作成

 ビジュアル表現を専門とする学会としてふさわしいポスター表現を目指して、横田先生と佐藤先生が制作を担当された。メディア宣伝とともに重要な広報活動であり、医師や学生にリーチするには最善かつ唯一と言ってもよい手段である。どこに掲示するのかを話し合い、全国の医学系教育機関、医学系学会、美術系学校に大量に郵送を行った。

⑬    学術集会の内容・プログラム決定

 医学系の学会に準ずる方式として、ポスター発表+講演を採用した。加えてイラストレーション学会らしく、作品の展示発表を充実させるべく内容を練った。当初は会期を2日間とする案もあったが、宿泊費の負担と週末を全て費やす負担を参加者にかけることを躊躇し、1日間で完結することとした。懇親会まで含めるとギリギリ余裕のない日程表になってしまった。

⑭    会計

 事務局を担当していただいた森谷先生が、細かい会計処理と記録、会員対応を行っていただいた。会計システムがきちんと機能していることは団体としての基盤であり、先生には心から感謝している。

⑮    分科会の構想

 メディカルイラストレーションの特徴として、①それぞれの専門科目に分かれて活動していること、②表現手段が様々であることが挙げられる。会場ではこれらが異なる会員が一堂に会するため、自分の専門を突き詰めたいという不満が出るのではないかと考えた。そのため専門ごとに分科会を立ち上げてもらうことを構想していた。

⑯    第1回学術集会・総会の開催

 約200名が参加した第1回の学術集会。医師をはじめ医療従事者、イラストレーター、出版社などの様々な属性を有する人々が集まり、メディカルイラストレーションを中心としたコミュニティが立ち上がった。この時から夢が現実に変わると同時に、会員同士のコミュニケーションのサイクルが回り始め、自律した「学会」が徐々に役員の手を離れていく実感があった。

⑰    学会誌第1号の発行

 これまでに、個人の経験、歴史の調査、教育の工夫、解剖学、発生学、手術手技、先行者研究、書籍紹介、表現研究、使用による効果の研究、業界調査、基礎理論研究などが発表されている。何を学術とするのか流動的な中、様々な試みが行われている段階である。

 多くの伝統的な医学系の学会が作る保守的な世界に小さな土地を借りるために、因果に則った制度を精密に決定しながら一歩一歩、前に進んでいった。その結果としてたくさんの人に参集していただくことができ、会場は因果を超えた喜びに満ちていた。一つの夢から始まり、因果の理を積み上げていった結果、それまでは全国にバラバラに存在していた200人近い人が、メディカルイラストレーション学会を自分ごととして参加してくれ、「共時の物語」が始まった。それは今でも涙が出るほど嬉しい光景であった。

1-3.     後期:認定講習会の構想・運営(2017年〜2019年)

①    認定制度の構想、諸団体の調査

 佐久間先生より、イラストレーターの職業としての安定を目指した認定制度が必要であるとの強い意向があり、役員会で計画がスタートした。佐久間先生が原案を出され、「医療従事者向けのプログラムとイラストレーター向けのプログラムを同時に走らせ、一定の単位を取得したら認定証を発行する」ことを骨子とした。認定制度自体の調査を行い、各種団体が運営しているプログラムを集め、内容を参照しながら構想を練った。

②    認定講習会の構想

 教育担当の横田先生を中心に講習会の内容を練り上げて行ったが、その過程には難渋した。分野としてまとまったテキストが存在しないこと、誰が講師を務めるのか、一定の基準をクリアーした内容を維持する必要性など、議論が続いた。必要不可欠な内容から構築していくことで、徐々に形を作っていくことができた。

③    講習会の運営

 講習会の実施は年に2回、学術集会時+1回を行う方針とした。講師依頼、講習会の案内・受講受け付け、会場の手配・案内、視聴覚機器の確認、受講料の聴取・管理、受講証の配布・回収、アンケートの実施まで、計画を立て実行した。

④    メンター制度の構想

 ベテランのイラストレーターの方々が、認定講習会を有償で受講する価値を感じられるか否かは、当初から議論になっていた。学会及び認定制度は、現在活躍されているイラストレーターを支援することが大原則であり、認定を受けないことが不利になってはならない。そこでAMIで導入されているメンター・メンティー制度を取り入れる方針となった。

2.   NPOあるいは社会起業的な学会運営へ

 学会の立ち上げと運営は、役員のボランティア精神によって行っていた。2〜3年が経過する頃、経営リソースの不足から負担が過剰になる状況が現れ、ボランティアに基づくシステムに限界が見え始めた。そこで「何か参考にできる団体運営のノウハウはないか?」と情報を探した。

 他の医学系の学会も参考にはなったが、それらはバックグランドに独立した学的研究機関・教育機関が存在し、持ち回りで運営を行っている。これは我々の分野にはほぼ存在しない。また職能団体としての協会運営と比べると、市場が育っていないため安定的に稼げている人が会員の中に少なく、会員の多くを占める医師・医療従事者は本業から収入を得ながら学会に参加している。

 そこで見つけたのが、NPOや社会起業的な運営手法である。この方法が本学会の運営に大変役にたつと感じたので紹介したい。NPOは非営利的組織のことで、「社会に対して新しい価値を提供すること」を通して、「社会に存在する課題を解決すること」をミッションにした団体である。ボランティアも社会貢献を目指しているが、自発的な意志に基づき無報酬で行う活動である。一方、NPOは非営利で
はあるがミッション達成のために社会的・経済的利益を追求することも含んでおり、得られた利益は分配せず、社会課題の解決に当てられる。

 我々の分野のミッションは、「メディカルイラストレーションの普及・向上という価値を提供することで、医療・医学に貢献し、イラストレーターの職域を確保する」ことになろう。

 NPO運営の基本的な考え方は、まず運営組織が支援者に働きかけ、経営リソース(人的・金銭的・物的)を獲得する。次に受益者に向けて経営リソースを役にたつ形で提供する。この、
支援者への働きかけ・リソース獲得・受益者への提供の流れ全体をマネジメントすることが骨子である。そのために各事業を実行・管理・改善するプロジェクトマネジメントを行うことになる。本学会で言えば、支援者は協賛企業や賛助会員、講演者、ボランティア会員たちであり、受益者は会員全員ということになろう。

 NPOマネジメントに不可欠な課題として、ファンドレイジング(資金調達)、ガバナンス、内部環境分析、外部環境分析、ステークホルダー(利害関係者)分析、ターゲット設定、ポジショニングがある。詳細は以下の書籍を参照されたい。(坂本文武著「NPOの経営 資金調達から運営まで」、徳永洋子著「非営利団体の資金調達ハンドブック」、ドラッガー「非営利組織の経営」)

 NPOには4つの強みと4つの弱みがあるとされる。

強み1:専門性が高く、現場のニーズや問題点について最も詳しい。

強み2:非営利であるため中立性を守り、組織への信頼を高める。

強み3:専門に根ざした活動は中立的なネットワークを形成しやすい。

強み4:社会ニーズに迅速にきめ細かく対応できる即応性。

一方で弱みは、

弱み1:資金調達が寄付者の善意に頼っているため経営基盤が弱い。

弱み2:リーダーシップや経営のノウハウが弱く、マネジメント能力が低い。

弱み3:限られた経営資源を有効に活用するマーケティング能力が弱い。

弱み4:ビジネルモデルを構築しないため継続性に弱く、ガバナンスが弱いため責任能力に不安がある。

 以上の弱みと強みは、我々の学会にも当てはまる部分が多いと感じる。

 以上、NPOの運営について解説した。ボランティア組織との最大の違いは、経営リソースの獲得とマネジメントに力を入れていることである。私が役員を務めた期間中に、この手法をまともに導入することはできなかった。今後の新役員の皆さんの運営の参考にしていただきたい。また会員の皆さんもどのような運営方針で動いているのかを知り、自分が学会に貢献できることはないか、考えるきっかけにしていただければと思う。

3.   学会による情報のキュレーションと視座の提供

 学会の立ち上げ時に役員の心の中に常にあった想いは、「これまで日本に無かったメディカルイラストレーションの団体を作ろう!それは必ず人のためになる」という確信だった。4年が経過した今振り返ってみると、悪戦苦闘していた当時は気がつかなかった意味があったことに気がつく。それはつながりを目指した情報のキュレーションであり、人が楽しく参加することによって自己変革を促し、未来の視点から医学界に揺さぶりをかける仕組みの構築であったと思う。

3-1.    
「趣意書」の意味

 学会設立前、イラストを描く医師は「趣味の人」と見られ、現場では肩身の狭い思いをしている人が多かった。メディカルイラストレーターはどこにいるのか分からず、互いの情報交換もなかった。アメリカのAMIと比べると「惨状」と言っても過言ではないほど厳しい現状であった。当時の役員は医師3名、イラストレーター3名であったが、自らの経験と調べうる限りでの日本全体の現状から、「どうしたら意味のある団体ができるか、多くの人が参加してくれる学会ができるのか」日本全国にバラバラに存在しているであろう、いや、存在していてくれると信じていた未来の会員たちに価値を提供するには何を語れば良いか、悩み、話し合い、必死に考えた。

 趣意書の文章は、随所に繰り返し同じ構成が現れている。それは私たちが「何を価値と考えているのか」を示し、「現状の理解と意味への気づき」を促し、「具体案と夢」を語るという構成である。それは厳しい現状から目を背けず地に足をつけて、自分たちを励ます言葉を紡いでいくことでもあった。

結果、趣意書は6つのパート構成となった。

1.   学会設立の目的

2.   前提となること(医用画像情報との関係について)

3.   基本となる学の枠組み(⒈表現技術論、⒉表現対象として捉え直した医学、⒊教育方法論、⒋効果及び再現性の検証、⒌普及活動)

4.   会員相互の交流

5.   専門性の向上

6.  

知財権の研究

 文章を構築していく中で、日本のメディカルイラストレーションの歴史について学ぶ必要を痛感し、また世界の活動と歴史についての学びも不可欠であった。世界から日本の現状を振り返り、医療現場からイラスト制作の現場、出版界の現状までを視野に入れながら、「今見えているものの意味を新しい視点から語ること、顕在化していない価値に光をあてること、現状の問題点を公平・冷静に共有し、具体的な解決策を提案すること」を繰り返していった。

 今振り返ると、ここで行ったことは「情報のキュレーション」であった。日本全国のメディカルイラストレーション好きの人、可能性を感じたことのある人にとっての価値を語るべく、情報のノイズの海の中から、特定事象にコンテキストを付与することによって新たな視座を生み出す行為であった。視座を提供することで人が共感できるように情報を組み替えたとも言えよう。

 とはいえ当時も今も、万人に同意される内容であるとは思っていない。読者自身の視座とは多かれ少なかれ常にずれ、小さな差異を生じ続けるだろう。しかしそれも大事なことで、違和感を提供することで関心を持ってもらうことも一つの効果である。「自分たちがやらねば誰がやる、自分がやめれば歴史は歩みを止める」というヒリヒリする実感の中で、趣意書が出来上がった。大学生の時に絵筆を折って医師になった私にとって、一文一文は永遠に光り輝いている。

3-2.     「認定制度・講習会」の意味

 集会を開き、同好の士が交流するだけでは学会の盛り上がりは半減していたかもしれないと思う。講習会の受講者に認定を付与する制度の開始は、会員にとって実利ある資格を提供する役割を持つことになる。またそれだけでなく、「学ぶ」ことを中心に据えることで、人と人をつなぎ、アメリカの大学及び協会の仕組みに対抗できるシステムを手に入れることになった。

 認定制度の目的として3つの柱を考えた。①ベテランイラストレーター及び医療者の認証及び周知、②基本学習・生涯教育の提供、③ベテランと若手を結ぶメンター制度である。100周年を超えたアメリカのメディカルイラスト協会では、ベテランが若手に教えるプログラムが組まれており、新人が不安なく学び続ける環境が整っている。また新しい表現技術を学ぶ講習会も盛んに行われている。我々もそれを渇望した。

 教育担当役員であった横田先生を中心に、講習会の内容を考え、講師に依頼し、認定制度のプログラムが走り出した。講習会のカリキュラムは大きく二つに分かれ、共通講習と職種別講習がある。共通講習には医療倫理、知財権が含まれ、職種別講習は医療者向けとイラストレーター向けに分かれる。医療者向け講習には制作に必要な技術と理論が含まれ、イラストレーター向け講習には基礎医学・解剖の基礎が含まれる。

 日本にはメディカルイラストレーションに関する教科書も体系だった教育プログラムも存在しない。その中で認定制度につながる講習会を構築したことは、不十分ではあるが「学問のひな形」を作ることであったと考える。アメリカ・カナダの大学院教育内容やCMI認定試験内容を調査・研究し、日本の現状に合った形で情報をキュレーションしたことになる。また、趣意書で示したメディカルイラストレーションの価値と団体として活動する意味といった一段目のコンテキストの上に、二段目として「教育・学問・認定というコンテキスト」を構築したことになる。この二段目は一段目がなければ積み上がらないものであり、現在、学会活動の両輪としての役割を担っている。学会を一つのメディアと考えると、学術集会と認定講習会は重要な二大コンテンツになったと言えるだろう。会員になることで、二つの視座にチェックインすることができる。

 ここで強調したいのは、認定制度の当初から生涯教育と相互教育を念頭に置いていたということであり、講習会はメディカルイラストレーション系の大学院教育を目指して設計したということである。会員の皆さんには、認定を取得して終わりではなく、学びの始まりであることを記憶にとどめ、いずれ人に教える側に立つことも考えに入れていただきたいと考えている。

3-3.     「学会誌」の役割

 一段目のコンテキストとして趣意書があり、二段目のそれとして認定制度と講習会があると述べた。そして「学会誌」は三段目のコンテキストであると言える。

 多くの諸学会を投稿規定を参照しながら、本雑誌のものを構築した。募集の内容として、「メディカルイラストレーションに関する研究、制作法や活用方、教育方の開発と評価、実践の報告などについての原稿」と定めている。当初、学会設立の目的として「学会と協会の両方の機能を持った団体にしたい」との方針があったことから、AMIの発行する作家別ポートフォリオ集であるソースブックのようにカラー画像を多く掲載したいと考えていた。このため記事類別の中に、論文形式のものだけでなく、「作品発表」の項目を入れた。しかし現在までのところ投稿は少なく、ポートフォリオとしての役割は果たせていない。

 記事類別としては「論文、研究ノート、製作ノート、実践報告、資料、会員の本・書評、作品発表、論壇、随筆、展望、解説、講座、座談会、会員の声」を入れている。

 学会誌が我々の学会が提供する三段目のコンテキストであるという意味は何か。それは「会員が自らキュレーションを行い、視座を提供する側に回る」ということである。これはかなり高度なことであり、人によっては「論文執筆など苦手だ」と感じる人もいるであろう。しかし本学会が次世代に引き継がれ、発展していくには不可欠であることは間違いない。


 一本の論文を書く過程の例を振り返ってみよう。まず自分の実践の中から「気づき」のタネを見つける。それを深掘りして考えながら、多くの文献を参照し、データを取り、テーマを掘り下げていく。文章を推敲する過程で、膨らませたり削ぎ落としたりしながら、人に訴えたい結論をまとめ上げる。以上の試行錯誤の中で、多くの視座にチェックインし、一つ一つをしっかり考える時間を過ごす。他の視座との距離から、メディカルイラストレーションの視座を自分の中に構築していくことになる。それは日本のメディカルイラストレーション学の内実を形作っていくことに他ならない。

 医学の分野では論文として発表されたものしか学的な実績としてカウントされない。論文にすることで、次の世代に研究が引き継がれ、積み重なっていく。そのサイクルが回ってこそ、一つの学問領域として固有の世界を築くことができるのである。メディカルイラストレーションの視座を自分の中に構築することは、日々の制作の土台となるばかりでなく、プロとしてのプライドを持つことにつながるだろう。市場的な評価や業界のコネクションとは別の、独自のキャリア=評価軸を作ることにもなる。

 一方、現在日本語で読めるメディカルイラストレーションの文献自体が極端に少ないため、執筆に難渋することも考えられる。私の方法は他の分野の知見を援用すること、海外の文献を参照すること、日々の気づきを言語化することなどである。他の分野のクリエーターの方が書いた書籍などの中にも参照したいものは多くある。 

 論文体の硬い文章を書くのは苦手と感じる会員の方も、自分の言葉で書いてみていただき、随筆や会員の声などに積極的に投稿していただきたい。学会誌に掲載されれば、日本の医学論文として、「医学中央雑誌刊行会」のホームページから検索可能になり、メディカルオンラインのサイトからダウンロード販売される。まだまだ学問領域として未発達な今、歴史を作るチャンスでもある。是非、多くの会員の皆さんに執筆にチャレンジしていただきたい。そして本誌では英文での投稿も受け付けている。既に実績のある方々には、英文での執筆にチャレンジしていただきたい。

4.   発表者の分析から見えるもの

 第1回から3回までの学術集会ポスター演題の内訳を調査した。演題テーマは26の分野にわたっており、臨床医学関連が13分野、基礎医学関連が3分野、表現法やイラスト職業関連が5分野、その他が5分野である。演題数の多さからみた分野別トップ5は、解剖学(25題)、形成外科学(10題)、脳外科(9題)、消化器外科(8題)、同列で表現法・教育(8題)で会った。6〜9位までは同数の6演題であり、放射線、整形外科、3Dプリンター・VR、体表解剖・美術解剖となっている。外科系の演題が多いの

は、設立時役員と発起人に外科系医師が多かった影響と考えられ、今後は内科系、基礎医学系からの発表も期待したい。


 このように他学会には見られない広範囲の分野からの発表が集まる点が当学会の第一の特徴である。各分野で活動している当事者が、それぞれの専門知を視覚表現として持ち寄る場はここしかないであろう。その意味で現在の医学界をメディカルイラストレーションの視点で俯瞰する貴重な機会であり、メディカルビジュアルに関する情報を求める人達が集うビオトープになっている。参加者はそれぞれに自分の持場があり、そこでどのように振舞っているのかを情報交換することもできる。自ら制作をする医療者が多く参加していることはアメリカの協会にはない現象であり、医用画像技術が発達する現代日本における、メディカルイラストレーションの新しい意味を教えてくれている。

5.   日本の医療の制度設計

 1961年にスタートした国民皆保険制度は、公的医療保険に加入している被保険者・保険料の納付を受け保険事業を行う保険者・医療機関の3つから構成されている。被保険者は保険料を保険者に支払い、医療機関は被保険者あるいは被扶養者である患者に診療を行い、保険者は医療機関に診療の内容に応じて診療報酬を支払う。この制度に密接に関わっているのが診療報酬制度を運用する調整役としての政府機関と、診断・治療に関わる材や技術を研究・開発する開発者である3)。この皆保険体制の中では、資金提供者である被保険者に対する直接的メディアが育っていない。

いつでも病院にかかれる安心の裏側では、世界的に低いとされる医療リテラシーの問題が潜んでいる。病気になって初めて、病気のことや医療のことを学び始める人が多いのだ。一般の書店にはまともな医学解説本もあるが、表現の自由を盾にした「トンデモ医療本」を含めた玉石混交の健康本と並んでしまっている。病気の多くが長期間の付き合いが必要になる慢性病である時代に、医療の受益者を対象にしたメディアの質が低く、真の意味で充実していないことは本当に問題である。こうなった原因は様々に考えられるが、被保険者自身が病に直面するまで積極的に知ろうとしないこと、医療の提供者は保険料を請求できないボランティアで情報発信するインセンティブを持たないこと、出版社は商業的に成功が望みにくい分野へリソースを割く余力がないこと、保険者・厚労省は膨れ上がる医療費を情報発信分野に割くプライオリティが低いこと。これらの要因が複合した結果、この国では制度の根幹を支えている資金提供者に真正面から向かい合ったメディアが育っていないと考えられる。本来なら、医療制度の主役である国民を中心に、提供者・開発者・受益者の間を取り持つしっかりとした医療メディアが必要だ。日本は欧米に比べて、医療系の公的なメディアが相変わらず貧弱である。本気で伝えようとするなら、メディカルイラストレーション・ビジュアリゼーションが不可欠であることは火を見るより明らかである。

現在の医療制度にメディカルイラストレーターを位置付けてみた。主役である被保険者(国民一般)と受益者である患者、サービス提供者である医療職者、研究開発を担う大学・研究所・企業、調整役としての政府機関、医療系メディア。これらの全てと関係を持ち、情報のやり取りをする中で価値を提供する存在である。

6.  
医療現場・医学会とデジタルトランスフォーメーション

 現在、医療現場ではデジタル化が着々と進行している。私の所属する現場を中心に、その有り様を図解してみる。まず医療現場では大きな分類として、①臨床分野、②手術分野、③検査分野の3分野がある。臨床分野には「診察、看護、投薬、検診、訪問診療、リハビリ、ターミナルケア」などが含まれる。手術分野には「手術部、麻酔、救急、ICU」などが含まれる。検査分野には「検体検査、画像検査、内視鏡検査、遺伝子検査、病理検査、解剖」などが含まれる。それ以外にも医学研究、保険診療、ヘルスリテラシーなどの分野がある。

 次にそれぞれの分野・領域別に国内の学会や研究会が存在している。日本外科学会、日本看護協会、日本救急医学会、日本医学放射線学会、日本麻酔学会、日本リハビリテーション学会、日本在宅医療連合学会、日本病理学会、日本人類遺伝学会、日本臨床検査学会、全国国保地域医療学会などである。我々のメディカルイラストレーション学会はこれらの分野・領域のすべてにおいて活動する専門職、研究者を受け入れる方針を持っている。またこれらの分野では、日々全国で実践と研究が行われており、ビジュアリゼーションへの需要は生まれているはずであり、我々の力を活かすチャンスはないか、積極的に各分野のリサーチを行う姿勢も保っておきたい。

 さらに国内学会は海外の学会と連携している場合が多い。例えば外科医ならAmerican college of surgeons、看護師ならInternational council of nurses、救急医ならNational association of EMS physicians、放射線医ならInternational society of radiology、麻酔医ならWorld congress of anesthesiologists、理学療法師ならInternational society of physical & rehabilitation、等である。これらの海外医系学会・団体とつながりを持つのが海外のメディカルイラストレーション系団体(MAA、AIMBI、AMI、AEIMS、IMI、KAMVA)である。

 以上の関係を図解する。それぞれの領域は独立・分散して活動しているが、互いに連携し影響しあっており、いずれの分野もメディカルビジュアルと関係を持っていることを理解しておきたい。

 次にこれら臨床現場・医系学会と、生活者・医療消費者、メディアの関係を図示する。メディアは医学領域と生活者をつなぐものとして存在する。また我々の学会はこれら三者すべてに対して関係を持ち、必要なビジュアルを提供する。


 現在、そしてこれから起こる事としてデジタル化がある。すでに医事会計や電子カルテ、画像データ、検査データ管理など多くの分野でコンピューターの導入が進んでいる。学会発表もプレゼンテーションソフトで行われ、論文もデジタル投稿・デジタル掲載が当たり前になった。研究の解析はPCソフトで行われ、文献検索もオンラインで自由に行える。近年ではスマホの普及による医療系ソフトの民間利用も始まっている。さらにこれからデジタル化が進み、医療に関わる全ての情報がデジタルでつながり、様々な場面で良い変化をもたらす時代が来る。これをデジタルトランスフォーメーション(Digital transformation; DX)と呼ぶ4)。空気のようにデジタル空間が張り巡らされ、オンラインとオフラインが混在(Online merges with Offline; OMO)して利用者に便益を提供する時代である。そこでは過去のデータだけでなく世界のデータともつながり、いつでも自分のデータと比較できるようになる。また世界の専門家に相談することも今よりはるかにやりやすくなるだろう。医療のDXは豊かな共時性を担保する方向に進んでいく。

 デジタルデバイスはさらに軽くウェアラブルになり、生活の場、医療現場に普及していくだろう。OMOが進んでいくと、医療を利用する際の体験を向上させようという意向が働くようになる。デジタル化とコンピューターの高速演算機能とネットの高速通信規格(5G)が連携することにより、体験のデザインが可能になる。マーケティング分野で発達しているユーザーインターフェイス(UI)によるユーザー体験(UX)が、医療現場でも追及され始めるだろう。メディカルユーザーインターフェイス(MUI)とメディカルユーザーエクスペリエンス(MUX)のデザインが求められるようになる。生活者が医療を利用する流れをデザインする時、マーケティング分野で顧客行動の設計に使われているカスタマージャーニーの考え方を応用することができる(*カスタマージャーニー:マーケティング用語。商品やサービスの販売促進において、その商品・サービスを購入または利用する人物像を設定し、その行動、思考、感情を分析し、認知から検討、購入・利用へ至るシナリオを時系列で捉える考え方)。同じように医療者が医学の学習や研究を進めていく体験の流れもデザインすることが可能だ。世界一高齢化の進んだ医療現場に、今後デジタルネイティブ世代の医療者が入ってきた時、おもてなしの文化を誇る日本でMUI、MUXが発展するのは必然ではないだろうか。メディカルビジュアリゼーションを専門とする我々にとって、能力を発揮するまたとない機会である。チャンスを逃さないようにしたい。

7.   サービソロジー・価値主義の考え方

 サービス学会で村上らにより2014年に発表された「サービス価値共創の概念的フレームワーク」5)について紹介したい。情報テクノロジーにより人と人のつながりを介して情報がやりとりされる時代に、メディカルイラストレーションを制作する我々にとって有効な視座を与えてくれる。

サービス価値共創の概念的フレームワークより引用 

 現在、世界では第3次産業という意味でのサービス業はGDP総量の約3分の2を占めていると言われ、価値づくりの視点がモノづくり・ベースからサービスマネジメント・ベースに移り変わっているとされている。モノづくり・ベースは「モノかサービスかによる価値創造を基本とし、企業が価値を作り込み、販売して終了」という考え方である。サービスマネジメント・ベースでは「経済活動を全てサービスとして捉え、モノ・サービスを購買した後の仕様段階においても価値づくりは続き、使用価値が生成され続ける」と考え、企業と顧客がともに価値を作っている価値共創が重要となる。

サービス価値共創の流れを図に基づいて説明する。

①:提供者がチャネルを通じたコンテンツを価値提案する

②:提供者の価値提案は、特定のコンテキストの下で行われる

③:価値提案は利用者の事前期待と出会い、両者の関係の中で利用価値の共創が実現する

④:その結果は、必ず満足度評価の対象となる

⑤:評価がプラスであれば、新しい事前期待を形成する

⑥:この一連の利用者による価値共創のサイクルは、提供者サイドに価値発信される

⑦:この価値発信が、提供者の中で蓄積されている知識・スキルに出会い、提供者サイドで経験価値という価値共創が行われる

⑧:その結果は、学習度評価のプロセスを経て評価される

サービス価値共創の概念的フレームワークより引用 

⑨:その結果がプラスであれば、新たな知識・スキルの蓄積に繋がり

⑩:それが提供者から利用者への次の価値提案を生み出し、交換価値の発生につながる

以上のような価値共創の概念的フレームワークの考え方が明らかにしたことは、

1).  使用価値の実現という受け手の価値共創のプロセスを対象とするだけでなく、その事後に生ずる顧客満足(不満足)をとりあげ、それを事前期待の形成につなぐことによって、受け手の価値共創のプロセスを再生産可能なサイクルとしたこと。

2).  それによって現象を静態的にとらえるのではなく、動態的な理解としたこと。

3).  受け手の価値共創のプロセスは、同時に送り手のサイドにも経験価値の実現をスキル・ノウハウの蓄積につないでいく送り手の価値共創のプロセスを生み出すとしたこと。

4).  全てのサービスが市場において行われる限りにおいて交換価値の実現が前提条件であり、サービスは使用価値、経験価値、交換価値という価値の三面性を持つ拡大再生産過程として把握すべきとしたこと、である。


 この考え方は、日常的にクライアントワークを行っているイラストレーターの方々に限らず、医療サービスを提供する医師や看護師など医療職者にとっても、当たり前に実感されている部分も多いと思われる。特に⑧の学習度評価と⑨の知識・スキルの蓄積は能力の向上にとって不可欠なプロセスと思われる。

 私の中には提供者と利用者がともに存在している。つまり、医療経験の提供者とその経験の利用者としてのイラストレーターが共存している。イラストレーターとしての私は医療・医学をどのように変換すると利用価値が上昇するかを共創し、価値発信している。それを受けて医者としての私は医学の経験を変換するスキルが向上し、他の医療者とのやりとりを含め提供価値を共創する力がついてくる。私の中の二人の間で金銭のやりとりは発生しないが、二つの道を同時に鍛え続ける中で感じていた時間的・肉体的コストが徐々に減少し、交換価値のリターンが増えてきていることを実感する。

 インターネットにより不特定多数の人とつながれるようになった今、コンテンツ制作者にとって、このフレームワークを理解しておくことが役に立つ。デジタル化によって無限に複製が可能になり、過去のあらゆる画像が利用可能になった時代に、著作権を無視した作品の無断使用を規制することはより困難になり、作品の希少性の低下によってマネタイズも難しくなっている。しかし逆に言えば、個人が潜在顧客にアプローチできる可能性が歴史上かつてないほど高まっているとも言える。作品を見てもらうには都会の画廊に出品するか、雑誌に取り上げてもらうのを待つ必要があった時代に比べて、今は誰もが無料でプラットフォームを利用することが可能だ。価値ある発信を続けることで利用者から信頼を得ることができ、内容についての感想や意見をもらうこともできる。いわば①から⑦に該当するマーケティングサイクルを無料で回すことができるのだ。メディカルイラストレーション作品についてもネット上にポートフォリオサイトを持つことは当然になっており、SNS上で作品を通じた交流も盛んである。上手に使って価値共創のサイクルを回し、マーケティング・マネジメントに利用することが可能である。

8.   空間に偏在するコミュニティ、心地よい摩擦の設計

 2008年に日本でfacebookがサービスを開始した。この頃からコミュニティのあり方が徐々に「リアル」からネット上の「バーチャル」にシフトしていく。2010年代まではネットはリアルな体験価値に誘導するためのツールとしての側面が強調されていたが、コロナショックは時代を一気に推し進めた。佐賀県の片田舎で生活する私が、リアルの職業生活以外で最も頻繁に参加しているコミュニティはネット上にある。一つは国内のアニメ・イラストコミュニティ、もう一つはInstagram上でフォロー関係にあるメディカルイラスト愛好者の繋がりだ。私の中には複数のコミュニティでそれぞれ発信を使い分けており、多層化した人格を自然に行き来している。ネットネイティブの若い人にとっては当たり前の生活スタイルだろう。

 私が住む地域社会でメディカルイラストを指向する人は極めて稀な存在だ。しかし世界とつながると、たくさんの熱意ある愛好者とやりとりすることができる。ネットのおかげでローカルニッチからグローバルニッチに拡大することができるのだ。

 ネット上のつながりなど儚く信用できない、という意見もあろう。確かに責任を負う必要がなく、気軽につながれる分、簡単に関係を解消することができる。しかし実際に私が日々の制作活動のための勉強をしたり、刺激を受けたり、モチベーションを受け取っているのはネット上のたくさんの人とのつながりからである。画像をアップした次の瞬間に地球の裏側から「いいね!」を押される体験は新鮮で嬉しいものだ。その直後には職場にいて、メディカルイラストに何の関心も持たない同僚と働いているが、かつて大学生だった頃のように私が夢を手放すことはない。それを追い続ける行動の伴走者がネット上にいてくれるからだ。

 私という身体を離れることはできないし、そうする必要もない。かつて本棚に過去の文筆家が存在していたように、今はスマホの中に多数の同行者が集まるコミュニティがある。かつて図書館や本屋で自由に本を選んでいたように、SNSで関心の近い人と自由にコンタクトを取ることができる。そこには身体性が確保されている。ネットリテラシーを高める必要はあるが、この潮流は大きな変革であることは間違いなく、後戻りすることもないだろう。

 一方で、リアルなつながりの価値が低くなったわけではない。リアルはリアルでこそ得られる体験があり、信頼感の高まりがあるのは間違いない。ZOOMなどのビデオ通話サービス体験が明らかにしたように、リアルしか選択肢が無かったために発生していた膨大な無駄=コストがあり、ネットのつながりによってそれが解消できることがわかった。

 これからはリアルのコミュニティとネットのコミュニティが同時に多数乱立し、それぞれがそれぞれを刺激し合い、自由に人がつながり、離れ、また別のコミュニティにつながることが当たり前になるだろう。その時に求められるのは、人同士のつながりから否応なく発生する摩擦を、不快なものから快適なものに変えていくテクノロジーとUX(ユーザー体験)デザインだろう。多くのサービスがそれを敏感に汲み取って対策を取っている。

 現在人々の消費欲求のトレンドは、コミュニティに代表される「つながり」の消費、「行為と承認の場」の消費へと向かっているとされる。コミュニティを作るためには、情報発信メディアを持つことが不可欠である。では医学系メディアの現在はどうなっているだろうか。

9.   日本の医学系メディア界を俯瞰する

9-1.     メディアとは何か

田端信太郎著「MEDIA MAKERS 社会が動く影響力の正体」6)から、メディア一般について考えていきたい。本書においてメディアは以下のように定義されている。「メディアとは、そこに情報の送り手と受け手の2者が存在し、その間を仲介し、両者間においてコミュニケーションを成立させることを目的とするものである」
 だからこそ、読者の心の中に何らかの印象を残し、心理的あるいは行動として反応がなされるコミュニケーションが成立しなければ、メディアとして存在できないと言える。今や誰もがメディアになりうる情報爆発時代であり、発信すること自体にはまったく価値がない。読み手に届くメディアを作り、運営を継続できるかどうかこそが生命線となる、と述べられている。
 医師は成長の過程で、情報発信者としても訓練されていくが、その大半は専門コミュニティに向けたものである場合が多い。専門家集団のレベルの維持と医学の発展をかかげた競争の中で、強烈な同調圧力に則った受発信が行われている。それは社会インフラとしての職能のために必要な面がある。

一方で、一般社会のメディア消費者にとっては「時間こそが重要なリソースであり、受け手こそが王様である」という原則があるが、私を含めこれに対応するための訓練を経験していない医師が多い。可処分時間をいかに奪うか、わかりやすく飽きさせない発信をするか、という意図をもって発信している医療者は少ない。また後に述べるが、医学会が健康保険の被保険者に対する直接的なメディアを継続して作ってこなかったことも、わが国の医療界の特徴である。これまでに読者の心に印象を残す医療メディアを本気で作ろうとしていれば、メディカルイラストレーターを本気で教育しようと考えたはずである。
 次に現在の国民のメディア利用環境についてのデータを紹介する。博報堂のメディア環境研究所が定期的に行っている調査7)で、2020年1月に東京・大阪・愛知の15~69歳を対象としたものである(有効回収数:1,932)。この結果、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、パソコン、タブレット端末、携帯電話・スマートフォンといったメディアへの総接触時間は411.7分と7時間弱に及んでいる。2010年は348分であったが、2019年にはじめて400分を超えたとされている。

メディア媒体別でみると、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といった旧来型メディアが占める割合は48.4%、パソコン・タブレット・携帯やスマホといった新型メディアのそれは51.6%と過半数を占めている。スマートフォンの所有率は60歳以外9割を超えており、60代以上も8割前後と伸長が著しい。これからはインターネットメディアにおける医療情報の充実が早急に望まれている。
 メディアを構成する因子としては「発信者」「受信者」「コンテンツ」の3つがあり、医療系メディアも同様である。誰が発信しているのか(どんな背景で、文脈で、意図で、対象に)。誰が受信しているのか(生活は?好みは?背景となる理解は?動機は?見る時間は?)。どんなコンテンツか(表現手段は?伝達法は?構成は?競合は?)。といったことがメディア編集者が考える内容の大切な要素になっている。

そしてメディアの持つ根本的機能として、「観察者の視点によって世界を立ち上げる」機能が述べられている。メディアによって報じられることは、その人が生きた証を人々に記憶させることである。特定の業界で影響力のある専門誌のように本人に成り代わって第三者としての観察者の視点から、ポジティブに紹介することに大きな価値があるとされる。
 さらにメディアには業界そのものを立ち上げる機能もあり、その例として2004年に創刊された「Yogini」というヨガ専門誌が紹介されている。それまでは怪しいイメージであったヨガを、お洒落でヘルシーなイメージに一新し、ヨガインストラクター資格が人気になるなど女性向けの健康法としての「ヨガ業界」が、ひとつの雑誌によって立ち上がった。
 振り返って、われらの学会を考えると、業界としてはきわめて小さく活動する人々も転々と分散した状況にあった中で、メディカルイラストレーションに光を当て、型にはまった古いイメージから(手前勝手ながら)イキイキとしたエネルギーと知的興奮に満ちたイメージとして打ち出し、それまで見えなかった愛好者の方々を掘り出したと考えている。それは小さいながら世界を立ち上げることであったと思う。

9-2.     医療メディア・コンテンツを3次元マトリクスで分類

 既存の出版界と新規webメディアが混交している現在、メディカルイラストレーションはどのように最適化しうるか?前著を基に医療系メディアを分析した。ここでは「コンテンツ」にフォーカスして、医療メディアの構造を把握したい。

メディアを分類するために、コンテンツを3つの軸で分類する方法がある。

軸1 ストック 対 フロー

軸2 参加性 対 権威性

軸3 リニア 対 ノンリニア


 それぞれ説明すると、「ストック型」は時間が経っても価値が劣化しないコンテンツであり、「フロー型」は今この瞬間が勝負であり、流れ去っていくコンテンツ。「参加性」は視聴者が参加しやすくオープンで集合知を生む可能性があるが、編集責任が曖昧なコンテンツであり、「権威性」は内容に責任が求められ、アウトプットをコントロールするため信頼が生まれやすいコンテンツ。「リニア型」は時間を区切ることなく継続的に展開され、時間軸のコントロールが発信側に委ねられているコンテンツであり、「ノンリニア型」はぶつ切りの情報で構成され、どの時間にどの箇所から視聴しようが自由なコンテンツ、である。

 今回、現代の日本の医療系メディアを網羅的に検討し、これらの3軸で構成される立体空間に各メディア・コンテンツのマッピングを試みた。それぞれのメディアにおいて、メディカルイラストがどのように使われると効果的かを想像しながら読んでいただきたい。

①    リニア・フロー・参加性の象限

 病気ものの映画・小説、有名人の講演会、テレビの健康番組、患者会通信、ネット掲示板、テレビニュース

 映画は製作者に時間をコントロールされるメディア(リニア)である。テレビは録画により視聴者がコントロールしやすくなっているが、一定の時間や速度を委ねることを前提にしたメディアである。テレビのストック性は良質なドキュメント以外では低く、基本フロー型のメディアである。

②    リニア・ストック・参加性の象限

 医療漫画、患者体験記、「病気が見える」シリーズ、医師国家試験対策本、個人ブログ、健康系雑誌

 気軽に参加でき、製作者側に時間軸をコントロールされ、価値が劣化しにくい領域である。出版社が発行する紙媒体に多い。多くの医療系の学生が参加している。ネットの中では個人メディアであるブログがこの領域に当たるだろう。

③    リニア・フロー・権威性の象限

 公的機関が主催する医学講演会、医療系大学の講義、NHK今日の健康、医学会講演、医学会専門雑誌、週間医学会新聞

 発信者が時間をコントロールし、タイムリーな情報を伝え、責任と信頼を売りにしている領域である。教育機関や学会、大手メディアなどの資本力・資産力がある発信者が担っていることが多い。

④    リニア・ストック・権威性の象限

 医学雑誌特集号、医学教科書、医学史本、医学専門書、がんセンター等、大病院のホームページ、医学会ホームページ

 前記の3象限と似ているが、タイムリーな情報よりも長く読み継がれることを前提にしたメディアである。少なくとも数年単位の価値の継続を求めて編集されている。気軽な検索性よりも読み物としてじっくり理解させる場合が多い。

⑤    ノンリニア・フロー・参加性の象限

 twitter、LINE、病院待合室の会話、医療ニュースメディア、テレビ健康バラエティ、井戸端会議、健康・妊活アプリ、悩み相談コミュニティ

検索性があり、その瞬間に楽しく参加できるタイプのメディア。インターネットと相性が良い。twitterのシェアなど、拡散性が高くニュースの素早い伝播に力を発揮する。個人の情報発信にも最適であり、最もニューメディア的な領域。間違った情報も拡散しやすい。

⑥    ノンリニア・ストック・参加性の象限

 e-lerning、Google検索、Instagram、Youtube、患者体験記オンライン、病院評価サイト、健康診断、民間療法ホームページ

 一般的な検索やネット学習に使用されているメディア。視聴者が好きな時間に細切れで視聴することができる。大手検索サイトの他、個人の体験記をキュレーションしたサイトなども該当する。一般の方が最も多く参加している領域と言えよう。

⑦    ノンリニア・フロー・権威性の象限

 m3.com、病院コミュニティ雑誌、大手の医療メディア、大学病院ホームページ、禁煙アプリ、facebook、遠隔診療サービス、厚労省web通信

医療系の団体・個人がネット上に情報を発信する時に多いメディア形態である。新型コロナの情報も初めはこの領域で発信され、徐々にストック側へ移行していく流れが見られた。この領域が一般の側にわかりやすく開いていないことが日本の問題と考える。

⑧    ノンリニア・ストック・権威性の象限

 医学雑誌バックナンバー、Pubmed、医学中央雑誌サイト、Wikipedia、医学解説サイト、医学図書館検索、医学辞書

 医師・医療従事者の研究や学習に最も該当する領域。検索性とストック性が両立しており、発信までに厳しいチェックを経ている。この領域はほぼ専門家にのみ向けられており、一般に説明する前提では編集されていない。

 以上、医学系メディアをコンテンツの面から分類した。また、これらメディアがどのようなコンテキスト(文脈・意図)によって編纂されているか、という視点も重要である。例えば「医学は統計学的有意性を厳密に精査すべし」というコンテキスト、「医学をわかりやすく伝える」というコンテキスト、「医学には限界があり、心を支えることが大切」というコンテキスト、「伝統・自然に回帰することが善である」というコンテキスト、「現代医学はWHOの陰謀」というコンテキストなど様々である。さらにビジネスの視点からは、マーケットがどこに形成されやすいかという視点も大切になってくるだろう。

参考文献

1).  明石道昭:佐賀県内で計4回のメディカルイラストレーション展示会の開催経験、日本メディカルイラストレーション学会雑誌 2018、1、87-92

2).  明石道昭:世界のメディカルイラストレーション事情と日本メディカルイラストレーション学会誕生までの道のり、日本メディカルイラストレーション学会雑誌 2018、1、25-39

3).  武内和久、山本雄士:投資型医療 医療費で国が潰れる前に、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017年

4).  藤井保文:アフターデジタル2 UXと自由、日経BP、2020年

5).  村上輝康ら:サービソロジーへの招待 価値共創によるサービス・イノベーション、東京大学出版会、2017年

6).  田端信太郎:MEDIA MAKERS 社会が動く影響力の正体、宣伝会議、2012年

7).  メディア定点調査、メディア環境研究所<https://mekanken.com>(2020年10月22日アクセス)

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